この記事では、医療費の自己負担額が高額になった場合、払い戻しが受けられる制度の高額療養費制度についてわかりやすく説明しています。
「高額療養費制度はがんや妊娠の入院にも適用されるの?」「事前申請で貰える[限度額適用認定証]とはなに?」などまとめましたのでご覧下さい!
高額療養費制度とは?
高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)は、一ヶ月間(同月の1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が限度額を超えた場合に申請することで、自己負担額限度額を超えたお金が返ってくる制度です。
自分で申請する必要がある制度ですので、自分が制度の対象であることに気づかず医療費の払い戻しを受けていない方が多いようです。
この記事では「自分の医療費の自己負担額限度額の確認方法」や「高額療養費制度の申請場所」に加えて「がんや妊娠などの入院にも適用となるのか」、便利な「限度額適用認定証」について書いています。
医療費の負担を減らすことができる、知らなければ損をする制度ですので、この機会に高額療養費制度について詳しくなっておきましょう!
自己負担額限度額の限度額はどうやって調べるの?
高額療養費制度の自己負担額は、自身の所得によって決まりますので、ここでは所得ごとの限度額を表にして記載しています。
所得区分 | ひと月あたりの自己負担限度額 | 3か月以上負担 された方 |
---|---|---|
年収約1,160万円以上の方 | 252,600円+ (医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
年収約770万円以上 ~約1,160万円の方 | 167,400円+ (医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
年収約370万円以上 ~約770万円の方 | 80,100円+ (医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
~年収370万円の方 | 57,600円 | 44,400円 |
住民税非課税の方 | 35,400円 | 24,600円 |
上記の表が所得ごとの自己負担額一覧になります。
表だけではイメージしにくいかもしれませんので、一つ例を書いておきます。
例:年間所得が400万円の人が、ひと月1,000,000円の医療費を支払った場合。
『80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円』
がひと月あたりの自己負担限度額となります。
医療費を負担し始めてから3ヶ月間は87,430円ですが、4ヶ月目からは更に安くなり44,400円がひと月あたりの自己負担限度額となります。
実は私もこの制度を知るまで
ある日突然、月に何百万円もの医療費のかかる病気になってしまったら医療保険にも入っていないし、おしまいだ…。
と思っていたのですが、しっかり健康保険料を払っていれば高額療養費制度で安心ですね。
しかし、高額療養費制度は一旦支払った医療費を返してもらえる制度ですので、一旦は高額な医療費を負担する必要があります。
そんな時に利用したいのが、下記「事前申請で貰える[限度額適用認定証]とはなにか?(ココをクリックでジャンプできます)」でご紹介している限度額適用認定証になります。
詳しくは下記でご説明しますが、限度額適用認定証があれば支払う医療費を自己負担限度額までにすることができます。
高額療養費制度を利用する時の申請場所はどこ?
自分で申請しなければ、医療費の払い戻しを受けることができない高額療養費制度。
申請場所はあなたが加入している健康保険の種類によって異なります。
ここでは、健康保険の種類ごとの申請場所をまとめています。
- 国民健康保険の申請場所→お住まいの市区町村の役場(市役所など)の健康保険課。
- 社会保険(サラリーマンの方)の申請場所→保険証に記載されている健康保険組合。
健康保険組合に直接申請も可能ですが、基本的には会社に聞けば、手続方法を教えてくれます。 - 協会健保の場合→健康保険被保険者証に記載されている、管轄の全国健康保険協会各都道府県支部か、お勤め先の担当部署。
上記が高額療養費制度を利用する時の申請場所です。
申請には医療費を支払ったことを証明する領収書が必要になるかと思いますので、申請前に準備しておきましょう。
高額療養費制度はがんや妊娠の入院にも適用されるのか?
高額療養費制度で気になるのが、その適用範囲。
ここでは、よく検索されているがんや妊娠の入院には適用されるのかを書いています。
結論からいえば、がんや妊娠の入院にも高額療養費制度は適用されます。
注意点としては入院にかかる費用がなんでも高額療養費制度の対象となるわけではなく、下記のものは対象外になります。
高額療養費制度の対象外となるもの
高額療養費制度が使えないのはどんな時?
医療費の上限額をある程度決めてくれる、便利な高額療養費制度ですが、使えないときもあります。
ここでは、事前に知っておきたい高額療養費制度が適用されないケースをご紹介しています。
- 色々な病院で医療費を支払った場合、ひと月の医療費として合算できるのは、一つの病院での支払額が2万1000円を超えた時だけ。
本当は所得に応じた医療費の自己負担額が限度額を超えているのに、病院ごとの支払いが少ない為に、医療費が戻ってこないということが起こりえます。 - 月をまたいで治療した場合、月ごと(1日から月末)に医療費を計算する。
医療費の合計金額が自己負担限度額を超えていても、ひと月ごとの限度額を超えていない場合、適用されません。
このため可能であれば、月初めの入院がお得ということになりますが、入院の日を自分で決めるのは現実的ではありません。 - 家族(世帯)で医療費を合算できるのは、同じ健康保険に加入している場合のみで、更に一つの病院での支払額が2万1000円を超えた時だけ。
- 病室の個室代金や先進医療にかかる費用は限度額の計算に含めることはできない。
医療費とは直接関係のない患者の希望によるサービスは対象外です。 - 診察を受けた月の翌月の初日から2年以上経過している。
高額療養費の払い戻しを受けることのできる期間は2年が限度です。
逆に言えば、2年までは遡って払い戻しを受けることができます。
事前申請で貰える[限度額適用認定証]とはなにか?
ここでは、限度額適用認定証について書いています。
限度額適用認定証はこれから手術することなどが決まっており、高額な医療費がかかることが明らかな場合に申請しておくと良いもので、病院の窓口に提示すれば支払う医療費を自己負担限度額までとしてくれるものです。
また限度額適用認定証があれば、高額療養費制度の不便なところである「一旦支払った医療費を返してもらう」という申請の手間をなくすことができます。
限度額適用認定証はどこで貰える?
便利な限度額適用認定証ですが、申請場所はどこになるのでしょうか?
申請場所は健康保険の種類によって変わり、以下のところで申請できます。
- 国民健康保険→自分が住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口。
- 社会保険(サラリーマンの方)の申請場所→保険証に記載されている健康保険組合。
健康保険組合に直接申請も可能ですが、基本的には会社に聞けば、手続方法を教えてくれます。 - 協会健保の場合→健康保険証に「全国健康保険協会」と書かれている場合は、協会の各都道府県支部に申請。
限度額適用認定証が届くまでには何日か時間がかかりますので、高額な医療費がかかることがわかったらすぐに申請してくださいね!
高額療養費制度まとめ
- 高額療養費制度は、1ヶ月間にかかった医療費の自己負担額が限度額を超えた場合に申請することで、自己負担額限度額を超えたお金が返ってくる制度。
- がんや妊娠の入院にも適用される。
- 高額療養費制度の申請場所は、健康保険の種類によって異なる。
- 高額な医療費がかかることが明らかな場合には「限度額適用認定証」を忘れずに申請する。
- 先進医療などには適用されない制度の為、医療保険への加入も検討する必要有。
コメント